「感情」から書く脚本術
400ページ近くに及ぶ大ボリュームのハリウッド式脚本術ハウツー本。
「感情」は、人間から切っても切り離すことのできない非論理的で厄介な、しかし愛するべき得体の知れない存在。本書では、その「感情」を観客の心に生み出す様々なテクニックが取り上げられている。
読み終えるのに二ヶ月近くを要してしまったが、個人的には目から鱗の情報ばかりで、非常に発見に満ちていた。
エンターテイメントととは、とどのつまり観客の感情にどれだけ訴求できるかが勝負だ。
「喜び」「笑い」「愛しい」などをはじめとするポジティブな感情はもちろん、時には「悲しみ」「怒り」「憎しみ」「切なさ」などネガティブな感情をも生み出すことが必要になる。
特にストーリー系のエンターテイメントは、難解で複雑で、時に残酷な、それでも素晴らしい人生を表現するために、ネガティブな感情とポジティブな感情の両面を描き出すことが、人間ドラマに繋がる。
人生良いことばかりじゃない。辛いことや悲しいことや残酷なことが事実、たくさんありふれている。けれど、それでも、人生捨てたもんじゃない。ほんの少しの幸せを噛み締めて、前を向き、笑って今日も歩き出そう。
そんな風に思わせてくれる作品がすごく好きで、いつか自分もそんな作品を描きたい。